ハンク・ポールソン 「ポールソン回顧録」

リーマンショックのさなかにアメリカの財務長官だったハンク・ポールソンの金融危機に関する回顧録です。

ポールソン回顧録
日本経済新聞出版社
ヘンリー ポールソン

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ポールソンは元ゴールドマン・サックスのCEOで、家族は民主党なのに、ブッシュ大統領に誘われて最初は断ったものの、国のために奉仕しようと心を決め、共和党の政府を支えたそうです。

600ページくらいの長編で、読み切るのに随分時間がかかりました。しかし、私としてはかなりいい本でした。

まず読んでいると、ポールソンの友達にでもなったかのように話に引き込まれてしまいます。日記形式で書かれているので、時間を追ってあの金融危機の裏側をつぶさに見ることが出来るのです。まぶたに映画の場面が展開します。とても具体的で、登場人物の表情や、その場の匂いまで感じるほどです。

世の中で噂されていることには間違った情報が多いんだなということが良く分かります。また、実名で書かれているので、邪魔をした政治家がたくさんいたこともバレバレです。政府は金融危機を納めようと必死になっていると言うのに、議会の政治家たちは選挙で当選することが目的になってしまっているから、大衆受けすることを望み、危機回避の邪魔をしまくっていたんだなという、政治の嫌な面も詳しく描かれています。これだから政治家にはなりたくないんだよな。

驚きだったのはブッシュ大統領が随分と立派な人として描かれていることです。マイケルムーアには相当馬鹿扱いされてますけどねぇ。

まあ、ポールソンが言っていることがすべて真実で正しいことかどうかは分かりませんけど、あの金融危機をここまで詳しく記録したという意味で価値のある本でしょう。

金融危機のテクニカルな部分については、まあまあテクニカルです。そんなに無茶苦茶テクニカルではないけど、金融素人の人にはちんぷんかんぷんでしょうね。

ポールソンはあくまでも自由な市場を信奉し、それを守るために、やむを得ず規制を入れたわけです。しかし、金融システムを守るためと言いつつ、やはりウォールストリートを守ろうとしている面もありますね。

毎日毎日大きな決断を迫られる状況で、さまざまな選択が行われ、こういう結果になったわけですが、その評価は後世の人が行うんでしょうね。

それにしても、その当時、アメリカの政府内であの問題に当たっていた人たちは、40~50代の人が中心だと思いますが、みなさんすごい人たちですよねぇ。当たり前ですが、自分にはとても出来そうもないので、世界ってこういう人たちのおかげで回っているのね、と感心しちゃいました。

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この記事へのコメント

Chris
2011年02月10日 06:47
ポールソンについては、あまり良い評判を聞いたことがなかったです。メディアが流す情報は虚実ないまぜになっていることはわかっているんですが、知らず知らずのうちに、メディアの意図する方向へ印象形成されていくことが多いですね。リーマンショックにまつわるさまざまなデシジョンメーキングはそういう意味では、歴史的評価はこれからなんでしょう。
管理人
2011年02月10日 07:42
Chrisさん>メディアの、特に日本語で書かれているメディアの言うことなんてたいがい疑ってかかった方がいいくらいの割合でゆがんでますよね。私はいつもソースに近い情報に当たるまではニュースは鵜呑みにしないことにしています。ポールソンはあの本で読む限りいい人っぽいですよ。正しい選択だったかどうかというのはそれこそ歴史的評価を待つしかないでしょう。私もわかりませんが、あの状況の中では、市場金融システムをあのまま残すことを前提とすれば最善の策に近かったんじゃないかなぁ?