「生きながら火に焼かれて」

この間、女性の割礼の話を書きましたが、その流れでアマゾンで見つけた「生きながら火に焼かれて」という本を読みました。

生きながら火に焼かれて (ヴィレッジブックス)
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スアド

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この話もショックでした。朝の4時までかかって一気に読んでしまいました。

中東シスヨルダンの村に生まれた著者のソアドさんは、幼いころから毎日殴られ、奴隷のように働かされていました。

その村は、遊牧民ほど原始的ではなく、街に出ると買い物も出来、大きな畑や牧場付きの家に住んでいて、大きな結婚式をするような場所です。

しかし、すさまじい男尊女卑であり、人々はとても動物的な道徳観を持って生きています。

女の子はもちろん学校にも行けず、奴隷のように働かされるだけでなく、女の子ばかり生まれすぎると、生まれた時に窒息死させて間引きしているようです。

もちろん結婚するまで男性とは目を合わせたり話したりしても駄目。そういうことをしているという噂が立っただけでも
家の恥となり、殺されかねません。

男性に申し込まれて結婚することになっても、その当日まで相手がどんな人かさえ知らされません。

そして結婚すると、初夜のシーツについた血のシミを、翌朝家から高くかかげて、お嫁さんが処女だったことを誇ります。

ねたみ、やっかみ、自慢、悪口、確執、喧嘩、暴力。

道徳観念はものすごく動物的で、人々の気持ちが汚いんです。

原始的な村に住んでいる人々の方が心がきれいなんていうのは幻想で、現代人が「きれい」だと思う心は、教育によってはぐくまれたものであり、原始的な人間そのものは単に動物的であり、自己防衛本能を中心とした考え方しか持っていないんだろうなと改めて思わせます。

そんな中、上にいたお姉さんがなかなか結婚できないものだから、申し込みがあったのに結婚させてもらえていなかった著者のスアドは、自分に結婚を申し込んできた男性をみかけ、それだけで恋心を抱いてしまいます。

そして、彼と出会い、結ばれます。

早く父親を説得して結婚してほしいと言うんだけれど、なかなか話が進まないうちに彼女は妊娠してしまいます。お腹をたたいたりぶつけたりして必死で子供を殺そうとするんだけれど、堕胎できません。

そして、家族に妊娠がばれてしまいます。

彼は彼女を避け、会おうとしません。

家族はしきたりにより、その娘を殺すことにします。彼女はその家族会議の話を聞いてしまいます。

結婚した姉の夫が実行することになり、家族が留守にしているときに家に来て、彼女はガソリンのような液体をかけられ、そして火をつけられるのです。

必死で逃げだし、病院に入れられるのですが、治療はしてもらえません。あまりの悪臭を洗い流そうと、看護婦にシャワー室で強いシャワーをかけられ、ただれた皮膚がちぎれるほどの目に遭ったりします。誰からの同情もなく、ただ、そこで死ぬのを待つだけなのです。

一度は母親が病院に来て、娘を毒薬を飲ませて殺そうとしました。家族にとってはそんな娘は早く殺してしまわなければならないのです。

「母親なんだから娘に対する愛情はあるんだろうに因習上仕方なくやっている」・・・と思いたくなるけれど、実はそんなきれいなものじゃないかもしれません。

そして病床で未熟児で子供を出産するのですが、やけどの痛みで出産したことに気付かなかったほどだとか。

それを聞きつけたヨーロッパのボランティアの女性が必死で彼女とその子を救い出し、スイスで治療をし、その後、彼女は子供を養子に出し、自立していきます。

そもそも学校にも行っていない上に、外国の言葉を覚え、生活に慣れることは並大抵のことではなかったでしょう。しかも、やけどは相当ひどく、途中まではあごと胸がくっついてしまっていて、ずっとうつむいたままの姿勢を変えられなかったほどです。30回にもわたる皮膚移植により、生活は出来るようになったものの、長そで、タートルネックが欠かせないという状態です。さらに、家族に殺されかけたという心の傷は想像もつきません。

そんな状態でも彼女は結婚をし、二人の子供を持ち、そして養子に出した息子とも再会・和解し、そして自伝を出版することで、心の傷を乗り越え、より強く生きられるようになったようです。

こうした家族による殺人を「名誉の殺人」と呼ぶそうで、中東のイスラム圏他でいまだに広く行われているようです。こうした殺人の刑を軽くするような法律がいまだに残っている国すらあるんだとか。

こういう話を聞くと、ひどい話だなと思いますが、一方で、そういう価値観というのは相対的なものだから、自分が信じている価値観だけが常に正しく、彼らが信じている価値観が間違っていると決めつけることは出来ないという気もします。

だってその人たちは、女性が婚前交渉をすることは大量殺人くらい悪いことだという価値観を信じ込んでいるわけだから、そんな悪人を殺すのは当然と思うわけでしょ。

大量殺人だって、その辺で銃をぶっぱなってたくさん人を殺すと死刑になったりするけれど、戦争に行って敵をたくさん殺しても、名誉だと言われたりするわけで、それだって人が決めた現代社会の善悪の違いにしか過ぎないわけだし。

光源氏の時代は、二股でも三股でも当たり前だったけど、いまどきは二股かけるとテレビでたたかれまくるし。

そんなとき、テレビを見ていたら、タコを熱い鉄板2枚の間に入れてぺったんこに潰しながら焼き、こんがりと薄く焼けたタコを食べるというシーンがありました。



これは悪じゃないのか・・・

タコは殺してもよくて、人間の女を殺してはいけない

線引きはどこにあるのが正しいのか・・・・

結局、自分が信じることを正しいと思って主張し、違うことを言う人と議論を続けるしかないんですよね・・・。それで多数決で決めるか・・・あるいは、力でねじ伏せるか?

絶対的な正義なんてなさそうだし、自分が信じていることが必ず正しいとは言い切れないけど、でも、男尊女卑だけには心の底から煮えくりかえる怒りを感じるんだよなぁ

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この記事へのコメント

あつこ
2012年05月07日 08:11
似たような話時々聞きます。壮絶な話ですが、稀な話というわけではなく、先日も夫に「自尊心が強い」となじられ顔に酸を掛けられた女性がニュースになってました。アジアの国ではこういった犯罪がよくあるそうです。割礼の話といい、本当に世界の虐げられた女性のために何かしたいと思う事件があまりにも多すぎます。
でも後半の、価値観の話も同感です。誰でも自分の価値観でしか判断できないんだから、娘を殺そうとした母親でも、西洋で私達と同じように育っていれば、もちろんそんな考えは持たないだろうし。それにしても「心が汚い」っていう表現は、シンプルながら的確だと思いました。
が、タコの話は笑ってしまう。あまりにも話が飛びすぎで思わず見てしまったビデオ。確かに数匹のタコが繋がって一つのせんべいになってるのは哀れな気もしますが、豚と一緒に合い挽きにされる牛だって哀れといえば哀れだし・・・
管理人
2012年05月07日 21:57
あつこ>ほんと、この手の話はいろいろあるよね。あまりに深刻な話なので、タコの話に飛ばしてしまいました。ははは。豚と一緒に合い挽きにされる牛は、牛だけでひき肉になるのより辛いのかな?うんまあ、自分がひき肉になるなら、豚と混ざるより、人間の単独挽きにしてほしいかもね。混ざった方がおいしそうな気がするけど。