「人生計画の立て方」 by 本多静六さん

本多静六さんは1866年生まれの東大教授です(1866-1952)。月給の4分の1と臨時所得のすべてを貯蓄して運用に回すという方法で財を築き、一日1ページ以上執筆すると決めて、300冊以上の著作を発表した方で、「私の財産告白」「人生計画の立て方」「私の生活流儀」の三部作が名著とされており、2005年に再販されています。そのうち「私の財産告白」と「人生計画の立て方」の2冊を買ったのですが、まだ「私の財産告白」は届いていないので、まず先に読んだ「人生計画の立て方」についてレビューしたいと思います。

人生計画の立て方
実業之日本社
本多 静六

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本多さんは若い頃、受験に失敗して自殺まで試みたそうなのですが、その後一念発起して大学に合格し、若くして東大の助教授になります。その経験から平凡な人間でも努力すればかなうという信念を持ったようです。そして20代の頃にドイツに行ったとき、その秩序的な政治や経済をみるにつけ、人生にも計画が必要だと思い、25歳で人生計画を立てました。

その計画は、25歳~40歳までは奮闘努力、勤勉貯蓄、もって一身一家の独立安定の基礎を築き、40~60歳では専門の職務を通じてもっぱら学問のため、国家社会のために働きぬき、60~70歳は、一切の名利を超越し、勤行布施のお礼奉公に務め、70歳以降は、居を山紫水明の温泉郷に移し、晴耕雨読の晩年を楽しむというもので、これに従って、目先の5年分、そして1年分、1か月分と詳細な計画を立て、粛々と実行していかれたそうです。

そこで面白かったのは、全体計画を立てた20代の頃には自分が70歳になったときのことなど想像もつかなかったので、70歳まで頑張ればもうあとは悠々自適でいいやと思っていたけれど、実際に70歳を超えてみると、まだまだ死ぬ気はしないし、悠々自適生活なんか送っていると罪の意識を感じ、欠乏感を抱いてしまったため、70代の半ばに改めて人生計画を立て直したというくだりです。

「人生には人生の任務が終わるということがあるはずがない。先哲先賢は、臨終の朝までいずれも道を極めることを怠らなかった。つとめつとめて、我が道の足らざることを恐れた。それだのに、未熟もはなはだしい自分ごときが、70歳で一応任務を務め果たしたように考えるのは、僭越でもあり、軽率でもある。まさしく人生への冒涜である。ああ、われ大いに誤まてりの感が、ここでむくむくと沸き起こったのである。」

この頃の男性の平均寿命は50代くらいだと思いますが、それでも既に70代半ばでお元気だったため、修正版の人生計画は何と120歳まで作っているのです。私の人生計画も念のためと思って120歳まで作ってありますが、その当時からそうしていたとはすごいですね。

でも考えてみたらその通りですよね。70歳なんて元気な人は全然元気です。そんな人たちを年金で遊ばせるのに若者が大きな負担を負わなきゃいけないなんておかしいと思います。まだまだ働いてもらわないと。実際、そうやって役割がある方がお年寄りはいつまでも元気なんですから。

そして作り直された人生計画はこんな感じです。

第一、教練期 (6-20歳) 人間らしく働くための準備。勉学、練成の徹底化、克乏生活の訓練

第二、勤労期 (21-65歳) 身のため国のために働き、名利を蓄積する。勤倹貯蓄、職業の道楽化、成功

第三、奉仕期 (66-85歳) 名利に超越して、世のため人のために働く。名誉職、世話役、官公史、人生指導等(無償で)

第四、楽老期 (86-120歳以上) 働学併進、努力道楽の晩年を楽しむ。晴耕雨読、顧問相談役、身の上相談、遊覧指導、旅行等

年齢に関しては、凡人はこの程度、優秀だった人はもっと早くに奉仕期に入るもよし、とされています。 

その他、恋愛について、結婚について、再婚について、などなど、さまざまなことがらに関する本多博士の考え方が紹介されますが、これらについてはさすがに時代錯誤なことが多いですね。すごいのは結婚相手の選び方。最も重要なのは純潔な血統だと!いやー、いまどきそんなことを言ったら差別主義者として総スカンを食らうんでしょうね。でもこの当時はこんなに言い切るほどに重要なことだとされていたわけですから、ご本人は大真面目なんでしょうね。

そして、老後を、嫌われることなく、若者に好かれて幸せに過ごすための、老人の六癖七戒が紹介されていました。面白かったのでご紹介すると、

六癖は・・・

●くどうなる気短になる愚痴になる思いつくことみな古くなる

●聴きたがる死にともながる淋しがる出しゃばりたがる世話焼きたがる

●またしても同じ話に孫褒める独りしゃべって人に云わせず

●いまを貶し昔を褒めて今朝のこと昼は忘れてまた聞き直す

●新しい科学まなばず古臭い詩歌や古典をまた繰り返す

●いまの世に善きことあれど悪しきことまず眼につきて世の厭わるる

老人自戒七則は・・・

1. 名利と齢とに超越して、日に新たなる努力を楽しむ。ただし、他人の名利と齢とはこれを尊重すること。
2. 他者、来訪者の言に傾聴して、問われざるは語らず。
3. 自慢話、昔話、長談義はこれを慎み、同じことを繰り返さぬ。
4. 若人の短所、欠点、失敗を叱らず、かえって同情的にその善後策を教える。
5. 若人の意見、行動、計画を頭から貶さず、できるだけそれを生かし、助長する。ただし、その欠点や危険を気付いた場合は、参考までにアッサリと注意する。
6. 老人の創意、創作は、一度若人たちの意見に徴し、その賛成を得た上で発表する。しかも、その功は若人に譲り、責は自ら負うことにする。
7. 会議、会合にはまず若人に発言させ、老人自らはその後に発言する。しかも、なるべく若人の言を生かし、補正すべきを補正、いわゆる綿上さらに花を添える意味にしゃべること。

ほんと、その通りですよね。こういうお年寄りがいたら、好きになるし、もっともっと経験談をお聞きしてそこから学びたいと思います。でもまあ、実際はなかなかこんなに出来たお年寄りにお会いする機会はないんですよね。一方、同じことを繰り返したり、聞いてないのにしゃべり続けたり、偉そうにうんちくを述べたり、若者を馬鹿にしたりするお年寄り・・・結構いますよね。ボケちゃうんですかね?ほんと、自分はそうならないようにしたいものです。

ちなみに「私の生活流儀」は私の生活流儀とはあまりにもかけ離れていることが想像されるため、購入しませんでした。

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この記事へのコメント

あつこ
2011年01月07日 00:29
その6癖は老人に限らないですよ。私くらいの年でそういう人もいますよね。そういう人は頭が老人化してるんだ!
特に最後の二つ。今の世の中の悪いところばかりを見て、昔のことを美化したがったり、今のテクノロジーや流行を知ろうともせずけなしたり。お互い120歳までブログを続けましょう。あと75年か。
管理人
2011年01月07日 07:19
あつこ>確かにそうですね。ブログ、あと75年、頑張りましょう!その頃には3Dとか4Dになってるかな。
Sokichi
2011年01月07日 12:53
いつも関心してますが、あくあさんのレビューはお手本のようなレビューですよね。これだけで本を読んだ気持ちになります。わたしもこのレベルのレビューが書けるようになった自分をイメージしていきたいと思います。
管理人
2011年01月07日 13:07
Sokichiさん>ええ?そうですか?いやー、書評にはあまり自信がなかったので、そんなふうに言ってもらえると自信がつきますね。ますます磨きをかけたいと思います。
金太郎
2011年01月07日 13:33
他の方も書かれてますが、アクアさんのレビューで読んだことにしてしまいそうです。ありがとうございます!お年寄りのお説教、私も平日子供を連れて公園にいると延々とやられてしまうことがあります。他に聞いてくれる人がいないのかも、と気の毒になるのですが。こういうお話ならいくらでも拝聴したいですよね。
管理人
2011年01月07日 15:59
金太郎さん>レビューで読んだことにされちゃうとまずいかもしれませんね(笑) 確かにお年寄りってわけわからないことを何度も何度も言うので、それをニコニコしながら聞いてあげるのが親切だと思ってましたが、歳を取ってもこういう考え方を持ってそれを本にして現していらっしゃるような方がたくさんいることを思うと、役割がなくて退屈な人がボケてああなっちゃうのかなと思うようになりました。なので老後も悠々自適ではなく、仕事や役割を持って、目標に向かって自分を伸ばし続けることがボケ防止にも重要な気がしますね。
しのりん
2011年01月10日 00:44
参考になります。ありがとうございました!私もこの本はあくあさんのレビューをもっと読了として、「私の財産告白」の方は試験が終わったら読みたいと思います。
本当に読む速度、はやいですね。私はまだ神田さんと渡部さんの本を読んでいるところです。
速く読めると、たくさん本が読めますから、とっても得する気がします。読むべき本は沢山ありますが、時間は限られていますから。
管理人
2011年01月10日 07:41
しのりんさん>あらら、ネタバレ書きすぎたようですね(笑)本は速く読みたいといつも思ってます。おっしゃる通り、読みたい本はいっぱいあって時間は限られてますからね。なのでフォトリーディングも活用したいと思ってます。